肥満
糖尿病でEDになるのはなぜ?原因・仕組みと改善・予防法を解説
「糖尿病といわれてから、勃起の硬さが落ちた」「中折れするようになった」——これは珍しいことではありません。糖尿病の男性ではEDの合併がとても多く、報告によっては糖尿病男性の約半数がEDを併発しているとされています。
なぜ糖尿病になるとEDが起こりやすいのか。この記事では、その仕組みを「血管」「神経」「海綿体」の3つの原因に分けてわかりやすく解説し、あわせて改善・予防のポイントも紹介します。EDは糖尿病や血管の状態を映す“サイン”でもあるため、放置せずに向き合うことが大切です。
この記事のポイント
・糖尿病の男性はEDを併発しやすい(非糖尿病の2〜3倍とする報告も)
・原因は「血管障害(動脈硬化)」「神経障害」「海綿体の機能不全」
・EDは糖尿病・動脈硬化の早期サインになり得る
・血糖コントロールと治療薬で改善が期待できる
糖尿病とEDの関係
糖尿病は、血糖値が高い状態が続くことで全身の血管と神経に少しずつダメージを与える病気です。勃起は「血流」と「神経の働き」に支えられているため、糖尿病の影響を受けやすく、EDと深く関係します。
各種の報告では、次のような傾向が示されています。
- 糖尿病のある男性のED有病率はおよそ半数にのぼるとする報告がある
- 糖尿病のある男性は、ない男性に比べてEDを発症する割合が2〜3倍程度高いとされる
- 糖尿病のない男性より10〜15年早くEDを発症する可能性が指摘されている
さらに、EDは糖尿病そのものや動脈硬化に先立って現れる“早期サイン”になり得ることも知られています。「たかがED」と考えず、背景に血管や血糖の問題が隠れていないか確認するきっかけにすることが大切です。
糖尿病でEDになるのはなぜ?3つの原因
勃起は、脳で感じた性的刺激が神経を通じて伝わり、血管が広がって海綿体に血液が満たされることで起こります。糖尿病はこの3つのすべてに障害を起こしやすいため、EDが発症・悪化しやすくなります。
① 血管障害(動脈硬化)
高血糖が続くと血管が傷つき、動脈硬化が進みます。動脈硬化が起こると血管の弾力が失われ、内側が狭くなって血流が低下します。とくに陰茎の動脈は直径1〜2mmと非常に細く、心臓や脳の血管よりも動脈硬化の影響を受けやすいとされています。そのため、十分な血液が流れ込まず「硬くならない」「維持できない」といった症状が現れやすくなります。
これは裏を返せば、EDが全身の動脈硬化の早いサインになり得るということです。
② 神経障害
糖尿病の三大合併症のひとつが神経障害です。勃起には、性的刺激を伝える感覚神経と、血管の拡張などを調節する自律神経の働きが欠かせません。高血糖でこれらの神経が障害されると、刺激や興奮がうまく伝わらず、勃起反応が弱くなります。神経障害が進むと、治療薬の効果が得られにくくなることもあります。
③ 海綿体の機能不全
勃起のためには、陰茎海綿体の平滑筋がゆるんで血液を受け入れる必要があります。このとき重要な役割を果たすのが一酸化窒素(NO)です。高血糖が続くと、血管の内皮でNOをつくる酵素(eNOS)の働きが低下し、NOが不足します。その結果、平滑筋が十分にゆるまず、血液が流れ込みにくくなって勃起しづらくなります。
糖尿病性EDは、これら血管・神経・海綿体の障害が重なって起こる「混合性ED」であることが多く、加えて心理的ストレスや服用中の薬の影響(薬剤性)も加わりやすいのが特徴です。
糖尿病性EDの特徴となりやすい人
糖尿病性EDには、次のような傾向があります。
- 糖尿病の罹患期間が長いほど起こりやすい
- 血管と神経の両方が傷むため、重症化しやすい傾向がある
- 血糖以外の要因が重なると悪化しやすい
とくに次のような方は注意が必要です。
- 血糖コントロールが不十分(HbA1cが高い状態が続いている)
- 糖尿病を長く患っている、合併症がある
- 高血圧・脂質異常症を合併している
- 喫煙・過度の飲酒・運動不足・肥満がある
- 高齢である
糖尿病性EDの診断
糖尿病性EDかどうかは、血糖管理の指標であるHbA1cの値や罹患期間などから、動脈硬化や神経障害の進み具合を推定して判断します。ただし、糖尿病とEDの合併率は高いため、糖尿病の方で「中折れする」「十分に硬くならない」といった自覚症状がある場合は、EDを併発していると考えるのが自然です。気になる症状があれば、早めに医療機関へ相談しましょう。
糖尿病性EDの改善・治療法
糖尿病性EDは、「血糖コントロール」と「ED治療薬」を組み合わせることで改善が期待できます。
血糖コントロール(土台)
血糖値が高い状態が続くほど、血管・神経のダメージが進みEDも悪化します。逆に、食事・運動・必要に応じた薬物療法で血糖を管理することは、EDだけでなく他の合併症の予防にもつながります。日本糖尿病学会は、合併症予防の観点からHbA1c 7.0%未満を管理目標のひとつとしています。
ED治療薬(PDE5阻害薬)
治療の中心となるのが、バイアグラ(シルデナフィル)・レビトラ(バルデナフィル)・シアリス(タダラフィル)などのPDE5阻害薬です。性的刺激があったときに陰茎の血流を促し、勃起をサポートします。糖尿病があること自体は服用の禁忌ではなく、多くの場合に使用できますが、次の点に注意が必要です。
- 神経障害などが進んでいると効果が得られにくい場合があり、医師が薬剤や用量を調整する
- 硝酸剤(ニトログリセリン等)とは併用できない(禁忌)
- 心疾患などの持病や服用中の薬によっては注意が必要
持病や服用中の薬は、診察時に必ず医師へ伝えてください。なお、ダイエットや一般的なED治療と同様に、ED治療は自由診療(保険適用外)です。
糖尿病性EDを悪化させないために
糖尿病性EDの予防・悪化防止は、そのまま糖尿病そのものの管理につながります。
- HbA1cを目標範囲に保つ(食事療法・運動療法・必要な薬物治療の継続)
- 禁煙する/過度の飲酒を控える
- 適度な有酸素運動を習慣にし、適正体重を保つ
- 高血圧・脂質異常症など合併する病気の治療も続ける
- 十分な睡眠をとり、ストレスをためこまない
まとめ
糖尿病でEDになりやすいのは、高血糖が血管(動脈硬化)・神経・海綿体の3つを同時に傷つけるためです。糖尿病の男性はEDを併発しやすく、EDは糖尿病や動脈硬化の早期サインになることもあります。
一方で、糖尿病性EDは血糖コントロールとED治療薬で改善が期待できる症状です。効果や使える薬は状態によって異なり、持病や併用薬の確認も必要なため、自己判断せず医師に相談しながら進めましょう。EDをきっかけに、血糖や血管の状態をあらためて見直すことが、健康を守る第一歩になります。
EDの基礎知識や、ED治療薬の種類・料金、オンライン診療の口コミについては以下の記事で解説しています。
・EDとは?症状・原因・治療法をわかりやすく解説
・ED治療薬の種類と違い(バイアグラ・レビトラ・シアリス)
・オンライン診療でED治療薬を処方するサービスの口コミ・料金
よくある質問
Q. 糖尿病になると必ずEDになりますか?
必ずではありません。ただし、糖尿病のない男性に比べてEDの割合が高いことが報告されています。血糖コントロールや生活習慣の改善で、リスクを下げることが期待できます。
Q. 糖尿病の薬とED治療薬は併用できますか?
多くの場合は併用可能ですが、ED治療薬には併用禁忌・併用注意の薬があります。とくに硝酸剤とは併用できません。服用中の薬は必ず医師に伝えてください。
Q. 糖尿病でもバイアグラなどのED治療薬は使えますか?
多くの場合は使用できます。ただし、神経障害が進んでいると効果が出にくいことがあり、心疾患などがある場合は注意が必要です。医師の診察を受けたうえで使用しましょう。
参考文献
- 一般社団法人 日本性機能学会「ED診療ガイドライン」
https://www.jssm.info/guideline/ - 一般社団法人 日本糖尿病学会「熊本宣言2013(Keep your A1c below 7%)」
https://www.jds.or.jp/modules/important/index.php?content_id=42 - 厚生労働省「医薬品等を海外から購入しようとされる方へ」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/kojinyunyu/index.html